Other
電子メールの書き方
※この文書はKaigo個人の見解を述べたものです。一般的な認識とは異なるかもしれません。
文頭
文頭には相手の会社名、部署名、役職名、氏名を書き、誰に宛てた電子メールなのかを明示します。名刺をいただいていれば、そこに書かれているものを記載します。社内であれば会社名は必要なく、名前だけで良い場合もあります。
悪徳商事 株式会社
ITシステム部 開発課
最高技術責任者 悪徳太郎 様
役職はない場合もありますし、つけないでくださいとお願いされる場合もあります。不安があればつけないほうが無難とも言えますが、書いておけば役職が変わったときに教えていただけることもあるので、一長一短といったところです。
文末
文末には自分の署名を書きます。署名であることがわかれば良く、特に決まったフォーマットはありません。実際あまり役に立つものでもありませんが、署名によって文章の終わりを認識しやすくなるようです。記載事項としては「会社名」「住所」「部署」「氏名」「電話番号」「FAX番号」「電子メールアドレス」「ホームページURL」などがあります。
-----
悪徳商事 株式会社
営業1課
悪徳次郎
Mail: jiro@akutoku.com
WebSite: http://www.akutoku.com
TEL: 00-0000-0000
FAX: 00-0000-0000
-----
署名は個性を反映させる箇所で、モットーなどが記載されることもあります。ただ、何度も何度も目にするところなので、不快感を与えないよう充分に気をつけてください。どうでもいいところなだけに、おかしなことが書かれていると返って目につくものです。
_/_/_/ 悪徳商事 株式会社 庶務2課
_/_/_/ 悪徳美人子 (bijinko@akutoku.com)
_/_/_/ TEL: 00-0000-0000 FAX: 00-0000-0000
****** 私のメールはテキスト形式♪ ******
難しい読み方の場合は、ふりがなをふっておくほうが親切です。
________________________________
悪徳三郎(あくとくみお)
悪徳商事 株式会社/インターネット部門
〒000-0000 東京都東京市東京1-1-1
TEL: 00-0000-0000 FAX: 00-0000-0000
本文
本文はおおよそ次のような形式です。
いつもお世話になっております。悪徳商事の次郎です。
・・・
(用件など)
・・・
よろしくお願いいたします。
冒頭の挨拶に続いて自分が誰なのかを書き、最後に「よろしくお願いいたします」といった挨拶で結びます。
行の長さ
電子メール全体を通して、どの行も998バイト以内でなければいけないことになっており、長い行は送信時に電子メールソフトが折り返してしまいますので、自前で改行しておいたほうが体裁良く整います。各行は句読点や文節などのわかりやすいところで適当な長さに折り返されていることが多く、ASCII文字で60~70文字程度の幅が目安となっています。
行の長さは7bitエンコード(エンコードというよりも生のテキスト形式)で問題になりますが、他のエンコード法では気にしなくて良いです。例えばHTML形式メールではQuoted-Printableというエンコード法を使用することが多く、この場合ASCII文字セットに変換された後で各行とも76バイト以内に調節されますし、Base64でもエンコード後に各行76バイト以内に収まるように折り返されるので、行の長さを気にする必要はありません。しかし、それでも60~70文字程度で折り返されることが多いようです。単に習慣であるか、読みやすさを考慮してのことだと思います。
結局、行を適当な長さで折り返すのは慣習となっているので、“そういうもの”と考えたほうが良いようです。
機種依存文字
端末に依存した文字は使用しないことになっています。PC-9801で採用され近年まで機種依存文字とされてきた丸数字などは、新しいJISコード(新拡張JISコード)に含まれるようになったため、殆どが機種依存文字ではなくなりました。嫌われ者のUnicodeでも該当の字形は追加されています。ただ、まだ広く浸透していないため、古いJISコード(新JISコード、旧JISコード)を利用する多くのケースでは、それらの文字セットに該当の字形がないので、なお使用してはいけません。心配ならば、見慣れない記号類は使わないほうが良いです。
履歴
電子メールを返信または転送する場合、文末に履歴をつけるのが慣例です。“履歴をつける”というのは相手の書いた文章をそのまま載せておくことです。通常は履歴であることを示すために「----- Original Message -----」などのテキストで区切られていますが、空行で区切られているだけの場合もあります。履歴には相手のものだけでなく自分や第三者のものが含まれることもあります。
-----Original Message-----
From: 山田太郎
Sent: Tuesday, June 12, 2007 10:39 AM
To: 悪徳太郎
Subject: 希望日・希望時間について
...
履歴は署名の後ろにつけるほうが望ましいはずなのですが、電子メールソフトは履歴の後ろに署名をつけてしまうことが多く、このために署名の後ろに履歴があることは少ないようです。また、転送の場合は、ファイルとして添付されている場合もあります。
構成
宛名 |
悪徳商事 株式会社
ITシステム部 開発課
最高技術責任者 悪徳太郎 様 |
本文 |
いつもお世話になっております。悪徳商事の次郎です。
・・・
(用件など)
・・・
よろしくお願いいたします。 |
署名 |
-----
悪徳商事 株式会社
営業1課
悪徳次郎
Mail: jiro@akutoku.com
WebSite: http://www.akutoku.com
TEL: 00-0000-0000
FAX: 00-0000-0000
----- |
履歴 |
-----Original Message-----
From: 悪徳太郎
Sent: Tuesday, June 12, 2007 10:39 AM
To: 悪徳次郎
Subject: 希望日・希望時間について
... |
引用
相手の書いた文章を挙げて、これに回答したり、指摘したり、感想を述べたりします。電子メールでは引用文であることを示すために行頭に引用文字をつけるのが一般的で、多くの場合「> 」(“大なり”とスペース)が使われています。
> この項はご依頼のご変更となりますので、
> 追加工数が発生してしまいますが、
> よろしいでしょうか。
はい。ここは修正する必要があるのでお願い致します。
相手の書いた文章を引用する場合だけではなく、他の文献等から文章を引用する場合も同じようにします。
- MSNニュースより転載 -
> 複数基礎年金番号:厚労相が「2万人存在」明かす 参院委
>
> 柳沢伯夫厚生労働相は12日の参院厚生労働委員会で、
> 06年10月現在で複数の基礎年金番号を持っていると
> 想定される人が約2万人いることを明らかにした。
引用文を更に引用する場合も、同じように行頭に引用文字を挿入します。結果、引用の深さの分だけ行頭の引用文字が繰り返されることになります。
> > この項はご依頼のご変更となりますので、
> > 追加工数が発生してしまいますが、
> > よろしいでしょうか。
>
> はい。ここは修正する必要があるのでお願い致します。
了解しました。
ただし、引用文を多用すると読みづらくなるため、あまり好まれません。上の例では、自分の書いた文章を自分で引用している点も少々滑稽に思えます。この例の場合、次のようにするとより良いでしょう。
ご依頼のご変更について了解しました。
引用に相当する部分を簡潔に表現できるかというところがポイントですが、このような配慮は無理にする必要はありません。最も重要なことは、伝えるべきことを伝えられているかという点であることを忘れないでください。
引用文字は「> 」が一般的ですが、ルールではなく、別の文字または形式が使われることもあります。以下はそれらの例です。
| 複数基礎年金番号:厚労相が「2万人存在」明かす 参院委
|
| 柳沢伯夫厚生労働相は12日の参院厚生労働委員会で、
| 06年10月現在で複数の基礎年金番号を持っていると
| 想定される人が約2万人いることを明らかにした。
---- ここから ----
複数基礎年金番号:厚労相が「2万人存在」明かす 参院委
柳沢伯夫厚生労働相は12日の参院厚生労働委員会で、
06年10月現在で複数の基礎年金番号を持っていると
想定される人が約2万人いることを明らかにした。
---- ここまで ----
履歴と引用の混乱
電子メールソフトは返信または転送の電子メールを書くときに、元の電子メールの内容を引用または履歴の形で取り込みます。引用文を多用する方の多くは、引用の形で取り込まれているようです。そして文末に引用の形式で履歴をつけるので、引用と履歴を区別できず、更に履歴の後ろに署名があったりすると、電子メールを最後まで見ないと本文を特定できないということになります。そのような場合、引用文字付きで最後に署名がずらっと並ぶことになり、見苦くなります。
また、やり取りが長くなるほど履歴の各行頭に付く引用文字が多くなり、どこからどこまでが誰の書いた文章なのかわかりづらく、電子メールソフトが長すぎる行を折り返してくれるせいもあって履歴の中での引用の判別は非常に困難となります。そうなるともう履歴の役目を果たせなくなってしまうので、履歴を引用の形式でつけるのは、できるだけ避けるほうが良いです。
相手が理解してくれなくてもマナーを押し付けることはできませんので、履歴がわからなくなって困ったら、過去に受信や送信した電子メールを参照して解決するようにします。
その他
話題や案件が異なっていて関連のない場合は新規に作成し、返信や転送ではなく別の電子メールとして送信します。
件名
たくさんの電子メールを扱う方たちにとって「件名(Subject)」は重要です。単に相手の都合なのですが、件名で電子メールを検索したり、電子メールのやり取りや話の流れを追ったりしているので、件名が書き換えられてしまうと、管理に少し多く手間がかかるのです。返信や転送のときに「Re:」や「Fw:」などをつけるのは良いのですが、件名を書き換えるようなことはしないようにします。
「Re:」や「Fw:」などは、ひとつあれば良いです。返信のたびに「Re:」をつけて、履歴のように「Re: Re: Re: Re: ...」としていると、いずれ元の件名が見られなくなってしまいます。
ときどき、件名のところに記号や番号が振られていることがあります。メーリングリストや大手サイト等の顧客対応時に比較的良く使われます。この場合、わざと記号や番号を書き換えて混乱させるようないたずらをしてはいけません。「Re:」や「Fw:」などのところも書き換えなくて良いです。もし電子メールソフトが自動的にそれらを挿入しても、想定範囲なので、そのままにしておいて良いです。
Re: [A-PRJ:12345] お世話になりました
宛先とCC
「宛先(To)」と「コピー(CC:カーボン・コピー)」を使い分けてください。複数の人に送信する場合、返事をくれるのは宛先に書かれている人のいずれかです。横から口を挟むことはあるかもしれませんが、通常、CCに書かれている人たちは経過を見ているだけで何も反応しません。
また、日本社会では何かにつけて順番が重要です。特に理由がない限り、役職の上の人を先に書くようにします。
まだマナーにはなっていないような気もしますが、相手が仕事先の方の場合は、電子メールアドレスの名前に敬称(“様”、“御中”、“殿”、“さん”など)をつけたほうが良いです。
相手が仕事先であるにもかかわらず敬称を略すなら、名前を除いて電子メールアドレスのみにしたほうが、まだ良いかもしれません。
BCC
もし受信した電子メールの宛先(To)にもCCにもあなたの電子メールアドレスがなかったなら、それは「隠しコピー(BCC:ブラインド・カーボン・コピー)」です。この場合、電子メールを受け取った人の中にあなたがいることを知っているのは送信者とあなただけです。“あなたにコピーを送ったことを、他の人には知られたくない”ということなので、あなたが受け取ったことを口外するのは、送信者にとって都合の悪いことと考えるのが妥当です。
BCCは電子メールヘッダに記載されないので相手には通知されず、したがって送信時にBCCを利用する場合は、電子メールアドレスのみで良いです。氏名などはあっても差し支えありませんが、わざわざ書き足したり削除したりする必要はありません。
多くの人にとってBCCを利用するケースは稀かもしれませんが、BCCには有用な利用方法があります。「送信したつもりだったのに送信されていない」ということがたまにありますが、BCCに自分の電子メールアドレスを書いておくと自分にも配信されるので、送信した電子メールを受信できなければ送信されていないとすぐにわかります。これによって送信ミスを早期に発見でき、行き違いなどの事故を未然に防ぐことができるのです。送信ミスの原因は、単純なミス(送信したつもりが保存していたとか)の他、セキュリティ・ソフトによって送信をブロックされていたり、送信メールサーバの仕様や不具合によるものなどあり、不可避のことも少なくないようです。
送信ミスに限って言えば、メールヘッダにReturn-Receipt-Toを追加することで、受信者のメールボックスに電子メールが届いたことを確認することができ、このほうがより確実です。Outlookでは、オプションで「配信済みメッセージを受け取る」をチェックするとReturn-Receipt-Toメールヘッダが追加されます。ただ、この通知はASCII文字セットのテキストで来るので、日本語環境ではどの電子メールが配達されたのかを確認するのはやや難しく、時刻から推測したりMessage-IDなどで確認するほかないようです。また、Return-Receipt-Toメールヘッダの機能を利用するためには送信(SMTP)サーバのサポートが必要です。
欄外のコメント
本文ではない文章を欄外に書くことができます。各種フォーラムなどで討論をしているときに、本文ではないことを示して悪口や冗談を言ったりするのに利用されてきました。無論、悪意を表現するためのものではなく、恐らく、緊張した空気を和らげるのに利用されているのだと思います。討論を傍で見ていると、まるで喧嘩をしているようですから。欄外のコメントは無視することになっていて、欄外のコメントで返すこともマナーに反しているようです。
# 固すぎて歯が立たない。
# きみの頭は何でできているんだろう。
# どちらかと言うと浮いてしまったよ。
電子メールでも利用できますが、少し趣を異にしているように思います。本文でないのは同じですが、近況や感情を表すのに使用されたり、回答を求められていたりして無視できないこともあります。
# 昨日、初孫が生まれましたが
# ・・・・・・・・おサルでした。
欄外のコメントは本文中のどこにおいても良いのですが、本文の終わりから署名の間に書かれていることが多いようです。ただ、電子メールでは“無視する”というマナーが適当でないため、特に欄外のコメントを利用するケースは見当たりません。恐らく、段落を変えるなどして本文中に書けば良いはずです。また、知らない方のほうが多いと思うので、相手が使わないうちは、こちらも使わないほうが無難でしょう。
括弧
電子メールに限らず、括弧は文章中でよく使用されますが、本当に括弧が必要かどうか見直してみることをお勧めします。括弧を外しても全く変わらないことも、よくあります。
在庫管理サブシステムのご検収はいかがでしたでしょうか。
設計と異なる箇所等の修正については
対応する準備ができております(新規のご要望については別です)。
在庫管理サブシステムのご検収はいかがでしたでしょうか。
設計と異なる箇所等の修正については
対応する準備ができております。新規のご要望については別です。
どちらのほうがより良いかは主観的です。私は括弧が無駄と思います。
豆知識(その1)
宛先(To)やCCなどは、便箋に書かれた宛名と同じく、本来は形式的なものです。本当の宛先は封筒に書かれています。電子メールの封筒は便箋に書かれている宛名などから作成して、宛先や差出人を電子メールソフトが書いてくれています。
Reply-ToとReturn-Path
Reply-Toは送信者が要求している返信先の電子メールアドレスです。もしこれが指定されていれば、電子メールソフトは返信の電子メールを書くときに、自動的に返信先の電子メールアドレスを宛先にします。返信先と送信者が異なる場合には設定しておくと親切です。例えばメーリングリストのメンバーであるなら、返信先をメーリングリストの電子メールアドレスにしておくと、相手が返信するときにアドレス帳を開かなくて済むので、手間が省けます。
Return-Pathは受信時につけられる覚え書きです。正確に言うと、最後に電子メールを受け取った受信(POP3)サーバ、つまりあなたのメールボックスが置いてあるサーバが、封筒に書いてある送信者の電子メールアドレスをReturn-Pathとして追加します。封筒の送信者の電子メールアドレスは、送信時に電子メールソフトが書きます。通常、便箋の送信者(From)と封筒の送信者(最終的にReturn-Pathに記載される)を別のものにすることはなく、また、封筒の送信者は自由に書けるのが普通なので、Return-Pathの用途はよくわかりません。
(2007/11/09 更新)
(2007/11/07 初稿)